
近年、人に関するトラブルが多くの企業で頻発しています。こうした時代には経営者や管理職のみなさんも労働基準法を中心とした人事労務管理の基礎知識を身に付けておくことが不可欠です。そこでこのコーナーでは、経営者や管理職が最低限知っておきたい人事労務管理のポイントを会話形式で分かりやすく解説していきます。
ここ数年、地球温暖化対策の一環として多くの企業においてクールビズが導入されている。更には、昨年以降は電力不足の問題もあることから、クールビズも含めた節電対策について、社労士に相談することにした。

先生、今年もそろそろ暑い季節を迎えますね。この夏も電力不足が懸念されますので、当社でも積極的に節電対策を行っていこうと思っています。

そうですね。今年は原発の問題もあり、昨年以上に節電対策も重要な課題となりそうです。御社では昨年は何か対策を取られたのですか?

はい、昨年は弊社で事務所のエアコンの設定温度を28度にするよう現場に徹底していましたが、やはり暑かったという意見が多く寄せられました。そこで昨年は見送ったのですが、今年はさらなる対策として、クールビズを採用しようと思っているのです。

そうでしたか。それでいくらかは暑さを軽減することができるでしょうね。

ただ、特に営業職の従業員は、取引先や顧客に不快な思いを抱かせないようなものにしなければいけませんね。当社への信用を落とすことになりかねないか心配しています。

そうですね。最近はクールビズも普及しているので理解も進んでいますが、取引先や顧客と接することが多い従業員の方は、常にネクタイやジャケットを持ち歩くようにし、対応する相手によって調節できるようにしたいものですね。また、それ以外にもクールビズを採用することで、従業員によっては職場には相応しくない過度の軽装をする者が出て、社内の雰囲気を乱すという懸念もあります。できれば服装について一定の基準を示すことが望まれますね。

一定の基準ということですが、具体的にどのように考えればよいでしょうか。

まず考えられるのは、先ほども取り上げましたが、ノーネクタイ・ノージャケットですね。これはクールビズを行っている企業でも多く採用されていますのでイメージできますよね。また、昨年はクールビズをさらに進化させた「スーパークールビズ」が推進され、ポロシャツやアロハシャツの着用を認めるケースも出てきました。

確かにテレビのニュースで見た記憶があります。

ただ、通常のワイシャツ以外を認める場合には、どうしてもカジュアルになりすぎるため、色を指定したり、社用ポロシャツを製作し、その着用であれば認めるというような基準を決めることになるでしょう。基準を決める際には、環境省からこのような「クールビズの服装の可否」という資料が出ていますので、参考にできるかと思います。


なるほど、これはいい目安になりますね。それ以外に、他の企業はどのような節電対策を行っているのでしょうか?

はい。昨年、電力不足により製造業をはじめとして土曜・日曜の休みを、木曜・金曜に入れ替える措置がとられたことは記憶に新しいですね。また、夏の間、始業時刻を早めて、涼しい朝の時間に働いて節電するサマータイム制を取り入れるなど、始業・終業時刻の繰り上げを行う企業も見られました。

弊社は、始業時刻を早めても業務上大きな問題にならないので、電力不足解消に少しでも協力できるようサマータイム制の導入も十分検討できると思います。サマータイム制を導入する場合、どういったことに注意が必要なのでしょうか?

サマータイム制は始業時刻と終業時刻を前倒しにする措置であるため、業務上の支障がなくても従業員の生活に大きな影響が出ます。例えば、小さな子供を持つ従業員などの影響は特に大きいでしょう。そのため、まずは従業員のみなさんにサマータイム制の導入について十分に説明、話し合いをし、理解を得ることが重要です。

確かに、特に子どもがいる家庭では影響がでそうですね。

そうですね。その後、従業員の理解が得られたら、続いて就業規則の変更手続きが必要となります。具体的には、通常と異なる始業・終業時刻を追加し、「6月から9月までの措置とする」といったように明記することが一般的です。

そういえば、弊社の規程には「会社の都合により、始業・終業時刻を繰り上げることができる」と定めてあります。このような条文があっても、就業規則を変更して届け出なければならないのでしょうか?

そうですね。この規定は、企業が必要に応じて始業・終業時刻を柔軟に変更できることを示したものです。よってこの条文を根拠とすることもできるでしょうが、今回は臨時的な措置ではなく、一定期間にわたって始業・終業時刻を変更する取扱いですから、就業規則の変更・届出をし、従業員に始業・終業時刻の変更を明確に示しておく方が良いでしょう。

なるほど。確かに全員にわかるように明記して示した方がよさそうですね。まずは、サマータイム制を実際に導入できるのか、従業員の意見も聞きながら検討してみます。

東日本大震災の影響で、今年も各企業における節電対策が急務となっています。具体的には、今回ご紹介したサマータイム制を含めた始業・終業時刻の繰り上げ、ノー残業デー等の時間外労働の削減、夏季連続休暇の時期や長さの変更、在宅勤務制度の導入等、様々な取り組みが各企業で実施、検討されています。ただ、業種や顧客への影響を考えたとき、実施できる節電対策が限られてしまうこともしばしばです。企業として実現可能な節電対策を検討し、実際に実施するに当たっては従業員に対し十分な説明を行い、その理解を得ておきたいところです。
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